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na-kkun's life

システムエンジニア兼業でライターしてます。日々感じたこと。思ったことを書いていきたいと思います。たまに変なこと書きます。

惨めな老後をおくらないために

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はじめに

今社会問題化している超高齢化社会についてどれくらい理解できているでしょうか?高齢者の貧困率も年々上昇し、明日は我が身と悲観的な考えを持っている人も相当数いるのでないかと思われます。
年金や医療費が財源を圧迫し、毎月律儀に払っている年金だって将来貰えるかどうかも分かりません。
そんな日本の未来に希望を見出せず極力消費を控え貯蓄にまわすのは当然の流れと言えます。

なんとなくこのままではマズイという意識はあるものの、では老後の対策として何をどうすれば良いのか?
本書「下流老人」を読んで改めて老後の危機感を持つことができたとともにセーフティネットの活用を視野に入れることの重要性も理解できました。

下流老人 一億総老後崩壊の衝撃 (朝日新書)

下流老人 一億総老後崩壊の衝撃 (朝日新書)

理想の高齢期というものは、今までの努力が報われて家族や友人など多くの関係性に恵まれて残りの人生を趣味や旅行に費やし、豊かで暖かく人生の集結に向かっていく……。
とういのが一般的な理想の老後というものですが、現実には相当なギャップがあり国が定める「健康で文化的な最低限度の生活」を送ることが困難な高齢者が多いことに気付かされます。
「生活保護基準相当で暮らす高齢者およびその恐れがある高齢者」を下流老人と定義し、この問題を放置すれば社会が持続可能ではなくなってしまう重大な「社会問題」としています。

以下本書「下流老人」を読んで参考になった箇所を紹介します。

下流老人にないもの

著者が多くの相談を受ける中で見えてくるのは、下流老人には以下の3つが「ない」ということ。

収入が著しく少ない

下流老人の特徴として世帯収入が著しく低くその収入では必要最低限の暮らしが営めない。生活水準は生活保護レベルかそれに近い状況にあります。

十分な貯蓄がない

十分な貯蓄がない場合、健康的で文化的な暮らしを維持することは難しいばかりか事故や病気、介護などの生活上でのトラブルに襲われた場合、たちどころに生活が破城してしまいます。

平成26年総務省「家計調査報告書」によれば、高齢期の2人暮らしの場合の一ヶ月の生活費平均は、社会保障などをすべて込みで約27万円。

高齢者で2人暮らしの場合の生活費は社会保障などすべて込みで約27万円も必要であること。収入が27万円以下の場合は当然不足分は貯金から補う必要があり貯蓄額が少ないとすぐに生活が破城してしまうのは目に見えていますね。

頼れる人がいない

理想の高齢者像というのは「息子や孫たちと同居し、日常的にコミュニケーションを取りながら支え合って暮らしていける」というものですが、下流老人にはこのように気軽に会話ができたり、相談できる人が身近にいないケースが多く社会的に孤立しているケースが多いとのことです。

核家族化が進んで久しい今の時代では助けてくれる家族がいなかったり経済的に困難な場合が多く相談、支援してくれる人が近くにいなければ、当然自炊や生活全般を自分自身で行わなければいけません。
また、相談できる人がいなければ振り込め詐欺などの犯罪被害にも遭いやすくなりますね。

下流老人の何が問題なのか?

下流老人は「あらゆるセーフティネットを失った状態」であることを指し、この問題は社会に対してどのような悪影響を生むのか?

親世代と子供世代が共倒れする

親が生活に困った場合、子供としてはできる限り援助したいと考えるものですが親の面倒を見たくても経済的な理由でそれができないという問題もあります。
経済的な依存が必要な高齢者を扶養するということは一般的な家庭モデルからみても子供世代に相当な負担が必要であること、現役世代の平均給与は微減傾向にあるだけではなく、正社員に比べても年収が劣る非正規雇用の派遣社員が年々増加しています。
このような状況において家族が親世代を扶養するといったモデルは限界に達しています。

価値観の崩壊

高齢者のために現役世代が共倒れになるような事態になれば、高齢者が尊敬されない、年寄りなんか邪魔、お荷物としか見られなくなる危険性も十分にありえます。
高齢者を自分たちの生活のために排除することに何の疑いも持たない人もでてくるかもしれませんし、価値観の崩壊は様々な教育制度やシステムに影響を与え、「健康が一番」「長生きは素晴らしい」などの価値観が崩れ去ってしまうかもしれませんね。

下流老人の社会的な問題

下流老人の問題を放置したままでは親子二世代が共倒れする危険性があり高齢者や他者に対する尊重の念や価値観が崩壊する恐れもあります。
さらに現役世代の消費が抑制され経済が冷え込み少子化が加速するといった悪循環に陥ってしまいます。

生活困窮者の現状

相談に来られた方々は、異口同音にこうつぶやく「自分がこんな状態になるなんて思いもしなかった」要するに、老後の貧困は想定外の事態だというのだ。だからこそ、対応や対策が後になってしまい、より困難な状況を生み出してしまうことになる。

つまり本人がどれだけ努力したつもりでも下流に陥るには理由があるということです。
多くの人々は「自分は大丈夫だろう」という根拠のない自信を抱きます。この意識と現実との乖離は相当に危険であり、だからこそ他人事にしてはならず本気で取り組むべきではないでしょうか。
下流老人の問題は一過性のものではなく社会問題として根底から対策を立てなければ手遅れになることは目に見えていますね。

非正規は正規の3分の1しかもらえない!?

同じ「年収400万」でも、厚生年金をかけている場合と国民年金だけの場合、受給額に歴然とした差が生まれます。
派遣社員と正社員で比較した場合、老後の年金は年間約110万円の差が生まれるとのことです。
65歳から20年生きるとしたら約2200万円、30年なら約3300万円の差が生まれることになり同じ年収でも厚生年金に加入しているか否かで老後の年金支給額に相当な違いがあることが分かります。
厚生年金に加入していない場合、現役時にそれなりに対策をしておく必要があります。

平均年収を得ている正規雇用者でもリスクが高い現状ですが、非正規雇用者の下流化へのリスクがどれだけ高いかは推して測るべしですね。
今の僕ら20〜30世代が年金をちゃんと貰えるかはかなり怪しいところですが……。

放置される下流老人

すべての人に下流老人のリスクがあるなかで、「自分は大丈夫だ」と思っていないだろうか。このようなわたしたちの意識が下流老人の問題を悪化させ、より先の見えない状態へと追い込んでいく。
下流老人の問題を改善するには、わたしたち自身の考えや価値観を変える必要がある。わたしたちの言動が、無意識に下流老人を社会の隅へと追いやっていることに自覚的でなければならない。

下流老人はこれからも増えることは明らかであり何も対策が講じられていないのは問題です。その背景には現役世代の「無自覚」の問題があり現実を直視して対策を考えないと手遅れになることは言うまでもありませんね。

自分でできる自己防衛策

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生活保護を正しく知っておく

実際に生活保護を受けたいけどどうすればいいのか?
生活保護利用を妨げるものとして「制度の無理解」があり、しくみを正しく理解できている人は少なくその他社会保障制度にいたっては存在自体知られていません。
本書では制度をよく理解するのが下流化を防ぐ第一歩であり必須の知識と説いています。

■生活保護手続きの流れ
生活保護を利用したい場合はまず地域の社会福祉事務所の生活保護担当に申請を行い、実際に保護を受けるには次のような調査が行われ生活保護として認定される必要があります。

  • 対象者の生活状況などを把握するための実施調査(家庭訪問など)
  • 預貯金、保険、不動産などの資産調査
  • 扶養義務者による扶養の可否の調査(親族からの仕送りなどの可否)
  • 社会保障給付(年金など)や就労収入などの調査
  • 就労の可能性の調査(労働の可否)

■保護費の支給額と内容

都内23区に住む単身の無収入高齢者の場合、個人差はあるが概ね支給額は「生活扶助費」が約8万円で、「住宅扶助費」が約5万円で、合計13万円程度となる。
ただ誰もが一律に最低生活費を満額もらえるわけではない。保護対象であっても就労収入や年金などの手当、親族からの援助がある場合、最低生活費からそれら収入の合計金額を引いた差額分が支給される。

実際に支給される保護費は年齢や世帯人数、住んでいる地域によって異なるとのこと。生活保護は世帯単位で行われるものであり、世帯構成員が増えればそれだけ金額も増えます。
東京と沖縄では物価や家賃相場が違うため、住んでいる地域によっても支給額は異なります。
また、生活保護による扶助にも様々な種類があり生活扶助や住宅扶助のほかに、必要な医療・介護サービスを受けるための「医療扶助」や「介護扶助」もあります。

■保護の需給要件
生活保護を受けるためには月々の収入が最低生活費を下回っている必要があります。
最低生活費については、各地方自治体のホームページに掲載されている「生活保護基準額表」を参照。

「資産運用」については資産と預貯金のほか、車や宝石、利用していない不動弾、貯蓄性の高い保険(積立型の保険)などを指します。
これらを所有している場合は原則保護を受ける前に生活費にあてることが求められるとのことです。
ただし、生活で利用している土地や家屋などは手放す必要はありません。
「能力の活用」については「働くことができる状態かどうか」を指します。そのため心身が健康で、十分働けるとみなされた場合は保護を受けられませんが、働く場所がなかったりその機会に恵まれなかったりする場合は保護費として需給できます。

医療の問題

医療費の支払いが困難な場合は「無料低額診療所」が利用できます。「無料低額診療所」は「生活困難者のために、無料又は低額な料金で診療を行う事業」に位置付けられた施設でお金がなかったり健康保険証を保持していない場合も利用可能です。
各都道府県の無料低診療所を探し、ソーシャルワーカーに相談しては、早い段階で受診することが自信のためであり、医療機関や国の負担も軽くなります。

おわりに

いかがでしたでしょうか?これからの時代下流老人の増加は疑いようがありませんが、保護制度や仕組みを正しく理解、利用する知識を持っていれば下流化という惨めな老後を過ごすことは防ぐことができそうです。
自分で老後に備えて対策をとっておくのが一番ですがセーフティネットをうまく活用する術を身に付けたいところです。

下流老人 一億総老後崩壊の衝撃 (朝日新書)

下流老人 一億総老後崩壊の衝撃 (朝日新書)

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